経済学入門!円安と円高の変動要因とは?エンジニアが経済についてわかりやすく解説
こんにちは!エンジニアの高澤です!
筆者はエンジニアではありますが、日頃経済について意識して仕事をすることの大切さを実感していたり、大学では政治経済学科を専攻していたこともあり、皆様の人生に少しでもお役に立てればと思い執筆いたしましたので、技術などの学習の息抜きとしてもご覧いただけましたら幸いです!
今日は経済学の基本的な概念の一つ、「円安と円高の変動要因」についてお話しします。
目次
円安と円高の変動要因とは
主な要因は以下の6点といえます。
- 金利差
- 経済指標
- 政治・地政学的要因
- 貿易収支
- 中央銀行の政策
- 投資家の心理と市場のセンチメント
それぞれ解説いたします。
金利差
金利は通貨の魅力を決定する重要な要素です。一般に、金利が高い国の通貨は需要が高くなり、金利が低い国の通貨は需要が低くなります。
- 円高:
日本の金利が上がる、または他国の金利が下がると、日本円の需要が増えます。投資家はより高いリターンを求めて日本円で資産を保有しようとするため、円高になります。 - 円安:
日本の金利が下がる、または他国の金利が上がると、日本円の需要が減ります。投資家はより高いリターンを求めて他国の通貨で資産を保有しようとするため、円安になります。
経済指標
経済指標は、通貨の価値に直接影響を与える情報を提供します。GDP、失業率、インフレ率などが該当します。
- 円高:
日本の経済指標が良好である場合(例:GDP成長率が高い、失業率が低い)、投資家は日本経済に対して楽観的になり、日本円の需要が増えます。 - 円安:
日本の経済指標が悪化する場合(例:GDP成長率が低い、失業率が高い)、投資家は日本経済に対して悲観的になり、日本円の需要が減ります。
政治・地政学的要因
政治的不安定や地政学的リスクも通貨の価値に影響を与えます。
- 円高:
世界的な政治的・経済的不安定が増すと、安全資産とされる日本円の需要が増えます。例えば、戦争や経済危機が起きると、投資家はリスクを避けるために日本円を買う傾向があります。 - 円安:
日本国内で政治的不安定が発生した場合、投資家はリスクを避けるために日本円を売る傾向があります。例えば、大きな政治スキャンダルや政権交代などが影響します。
貿易収支
貿易収支は、輸出と輸入のバランスを示します。
- 円高:
日本が貿易黒字(輸出が輸入を上回る)である場合、外国企業や政府は日本の商品を購入するために日本円を買う必要があり、結果として円の需要が増えます。 - 円安:
日本が貿易赤字(輸入が輸出を上回る)である場合、日本企業や政府は外国の商品を購入するために外国通貨を買う必要があり、結果として円の需要が減ります。
中央銀行の政策
中央銀行の金融政策も通貨の価値に大きな影響を与えます。
- 円高:
日本銀行が金融引き締め政策を実施する(例:金利を上げる、資金供給を減らす)と、日本円の価値が上がります。 - 円安:
日本銀行が金融緩和政策を実施する(例:金利を下げる、資金供給を増やす)と、日本円の価値が下がります。
投資家の心理と市場のセンチメント
投資家の心理や市場のセンチメントも為替レートに影響を与えます。
- 円高:
投資家が日本経済や政治に対してポジティブな見方を持っている場合、日本円の需要が増えます。 - 円安:
投資家が日本経済や政治に対してネガティブな見方を持っている場合、日本円の需要が減ります。
これらの要因が複雑に絡み合って、為替レートの変動が生じます。市場参加者はこれらの情報を基に取引を行い、結果として円高や円安の変動が発生します。
中央銀行の政策の「資金供給を増やす」とは
「資金供給を増やす」とは、中央銀行が市場に供給する通貨の量を増やすことを指します。具体的には、以下のような手段があります。
公開市場操作(Open Market Operations)
中央銀行が国債やその他の金融資産を購入することで、市場に流通する資金量を増やします。
- 具体例:
日本銀行が大量の国債を購入すると、その代金が金融機関に支払われ、金融機関の保有する資金が増加します。これにより、金融機関は企業や個人に対してより多くの融資を行うことができ、結果として市場全体に流通する資金量が増えます。
預金準備率の引き下げ
中央銀行が商業銀行に対して求める預金準備率を引き下げることで、商業銀行が貸し出しに利用できる資金を増やします。
- 具体例:
もし日本銀行が預金準備率を10%から5%に引き下げると、商業銀行は預金のうちより多くの部分を融資に回すことができます。例えば、100億円の預金がある銀行が以前は10億円を準備金として保有していたのに対し、5億円を準備金として保有するだけで済むため、追加の5億円を融資に回すことができるようになります。
商業銀行とは、一般の企業や個人に対して預金の受け入れや貸し出し、送金などの金融サービスを提供する銀行のことです。例えば、三菱UFJ銀行やみずほ銀行などです。
預金準備率とは、商業銀行が顧客の預金の一部を中央銀行に預けておく必要がある比率のことです。この比率を下げると、銀行はより多くの資金を貸し出せるようになります。
量的緩和(Quantitative Easing, QE)
中央銀行が長期の金融資産(主に国債やモーゲージ担保証券など)を大量に購入することで、長期金利を引き下げ、市場に大量の資金を供給します。
- 具体例:
日本銀行が国債や他の金融資産を大量に購入することで、その代金が市場に供給されます。これにより、長期金利が低下し、企業や個人の借り入れコストが下がり、経済活動が活性化します。
貸出ファシリティの利用
中央銀行が特定の条件で金融機関に対して直接的な貸し出しを行うことで、資金供給を増やします。
- 具体例:
日本銀行が金融機関に対して低利または無利子で資金を貸し出すことで、金融機関はその資金を企業や個人に対して融資することができ、市場に流通する資金量が増加します。
マイナス金利政策
中央銀行が商業銀行の中央銀行に対する預金にマイナス金利を適用することで、商業銀行が預金を中央銀行に預けず、市場に貸し出すことを促します。
- 具体例:
日本銀行が商業銀行の預金に対してマイナス金利を適用すると、商業銀行は預金を中央銀行に預けるとコストがかかるため、その資金を企業や個人に貸し出すことを選びます。これにより、市場全体に流通する資金量が増えます。
これらの手段を通じて、中央銀行は市場に流通する資金量を増やし、経済活動を刺激しようとします。資金供給が増えることで、企業や個人がより多くの資金を利用できるようになり、経済全体の成長を促進することが期待されます。
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